「1945ひろしまタイムライン」にて発信されたツイートについて(柳沼昭徳)

 烏丸ストロークロック代表の柳沼昭徳です。

 この度は、私が監修として携わっているNHK広島によるプロジェクト「1945ひろしまタイムライン」において、一部のツイートに対し「差別助長」という批判を多数頂いている件について、2020年9月現在、私の立場から言及できることをお伝えしたいと思います。

 まず、柳沼昭徳および所属団体である烏丸ストロークロックは、日本における朝鮮半島出身者の方々に対する差別をはじめとする、あらゆる差別的な行為、社会構造に対して批判する立場であることをここに表明いたします。

 であるにも関わらず、今回、一連のツイートの公開プロセスにおいて、監修という立場として、配慮が不十分であったことを認識し、改めて深く反省しおわびいたします。

 ただ、このNHK広島の「1945ひろしまタイムライン」という企画には、多くの人々が携わっており、この件に対してそれぞれの想いを抱かれていますが、それを個々に発信・表明することによる不要な憶測や誤解を招く事態を避けるため、現状では、いただいている様々な批判・指摘・質問に対して柳沼昭徳個人としての自由な見解を述べるに至らないことをどうかご理解いただきたく思っております。

 以下、8月24日に公表されたNHKからの公式見解を再掲いたします。

6月16日、および8月20日にシュンが発信したツイートについて、多くの方々から、さまざまなご意見をいただきました。一連のツイートは、被爆された方々の手記やインタビュー取材に基づいて掲載しましたが、「差別を助長しているのではないか」というご批判も多数いただきました。戦争の時代に中学1年生が見聞きしたことを、十分な説明なしに発信することで、現代の視聴者のみなさまがどのように受け止めるかについての配慮が不十分だったと考えています。

また、手記を提供してくれた方が、1945年当時に抱いた思いを、現在も持っているかのような誤解を生み、プロジェクトに参加している高校生など関係者のみなさんにも、ご迷惑をおかけしたことをおわびいたします。

「1945ひろしまタイムライン」は、戦後75年がたち、戦争や原爆の記憶が薄れつつあるなか、若い世代に関心を持ってもらうため、身近なメディアであるSNSと放送を連動させた企画として発足したプロジェクトです。被爆された広島の人々の日記や手記を元にし、SNSで発信することによって、当時の混乱した状況を追体験し、戦争や原爆について、リアリティをもって考えていただく取り組みです。

「1945ひろしまタイムライン」のツイートはすべて、NHK広島放送局の責任で行っています。今後は、被爆体験の継承というプロジェクト本来の目的を的確に果たしていくため、必要に応じて注釈をつける、出典を明らかにするなどの対応を取り、配慮に欠けたり、誤解が生じたりすることがないように努めます。

 この度の誤りの背景には、自らの至らなさ、そして日本社会が内包する複雑な問題がありますが、この表明は、短絡的な決着を目論むものではなく、ここで起こったことを契機として長い時間をかけて向き合い、学び、検証、改善していく所存です。

 これまで、作品を通じて表現してきた以上に、今後は、社会に存在するあらゆる分断と、それがもたらす心身の痛みに対して、作り手と受け手がともに想像し、感応しうる創造活動を心がけてまいります。

2020年9月2日

劇作家・演出家 柳沼昭徳